筋トレを考える5 伝説のやり投げ選手
溝口和洋選手のウエイトトレーニング
投てき種目。
砲丸投げ、ハンマー投げ、円盤投げ、やり投げ。
日本人には不利に思える「やり投げ」で
かつて世界一を争った男がいた。
溝口和洋選手
高校生からやり投げを始め、大学時から本格的に競技へ。
常識を疑い、一からやり投げを極めるため、
自分の体を実験台に数々の最先端技術を開発。
やり投げで世界一になるために、他のものは切り捨てる気合いでの取り組み方。
神経回路を発達させ
独自のウエイトトレーニングでベンチプレスやスクワットもやり投げを意識した
全身トレーニングとして取り組む。
そしてそのトレーニングは質量ともに現代のトレーニング理論を超越している。
「トレーニングは常にMAX、つまり限界になるまでやらなければ意味がない。」
一例として、多い時はベンチプレスを
1日でピラミッド形式でエンドレスで100トンやる
(平均100キロあげても1000回分)
それで長時間(4時間~時に10時間以上)ウエイトして100%の体力・気力を使い果たした後、補強として懸垂(500回程)、逆立ち歩き30m、逆立ち腕立てetc
その他に20%~40%走・跳・投げの練習も基本的に行う。
スクワットを重点的にやろうと思った日は、
MAX重量の80%10回を30セットやるetc
溝口氏曰く「120~140%、つまり体力的限界を超えているわけだが、そこは精神、俗にいう根性でカバーする。毎日、火事場の馬鹿力を無理やり出せば良いだけのことだ。」
2回のオリンピックでは結果が出なかったが
全盛期の1989年には87m68(怪しい再計測で87m60に)の幻の世界記録を出す。(29年後の2018現在も日本記録)
その後は怪我をしつつも、その状態で記録を出せるかに挑戦し、引退後はパチプロをしつつ室伏広治選手を指導したり
結婚を期に、今では地元・和歌山で農家をしているという。
他者に迎合、妥協というタイプとは正反対の溝口氏
マスコミ受けするでもなく
ただ、自分の生き方を貫いている。
溝口選手は、体格的不利のある競技で、ほぼ1人で
創意工夫と想像を絶するトレーニングで世界トップクラスに辿り着いた。
稀有な例なのではないでしょうか。
・・・と、長くなりましたが漫画の登場人物のような方がいます。
超回復理論なんて完全に無視で
自分の感覚と実践でトレーニングを構築し、極点まで突き詰めた方です。溝口氏のやり方は万人が真似できるものではないかもしれませんが、果たして今あることが最善なのか?はどんなことでも、常に考えて取り組んだ方が良いのかもしれません。
推測ですが、もし溝口氏に無限のスポンサーがついて自由にトレーニング機材を作成できたとしたら、やり投げにより適した新しいトレーニングを考案されたのではないかと思います。
溝口氏の痛快な(?)逸話として
・一般学生が溝口氏と共にトレーニングしたが、
懸垂するだけの体力が残っておらず、
ジャンプして飛びつく「飛びつき懸垂」
をやらせた。
…が、飛びつき掴む体力すら無くなったため、
低い鉄棒での「斜め懸垂」
(斜め腕立て伏せみたいな)をやらせた。
…が、斜め懸垂するための握力すら無くなったため、
鉄棒と手をグルグル巻きにしてトレーニング続行させたら泣き出した。
・「一回、ウェイトしてる時にぶあっと冷や汗出て倒れた事あったけど、コーラ飲んで少し休んで、また練習再開じゃ」
・嘘八百の記事を書いた記者を国立競技場で追いかけまわしてヘッドロックをかける
・ロサンゼルスオリンピックで予選落ちした時、陸連のコーチの言い分に頭にきて、東京で解散式後、日本代表のブレザーは帰りの新幹線のゴミ箱にまるめて捨てた。
・わしのウエイトはとにかく毎日マックスを挙げるだけ。
疲労?だいたい疲労ってなんやねん。
そんなもん根性で克服できる。
死ぬ気でやったら人間、不可能はない
・「やりを投げていないなら今のあなたは何ですか」
溝口氏「わし?わしはただの燃えカスかな」
・ハンマー投げアテネオリンピック金メダリストの室伏広治氏は尊敬する人や影響を受けた人として溝口氏の名前をあげ、中京大学時代の自分と比較して「自分も厳しい練習をしていると思っていたが、溝口さんは、誇張でもなんでもなく、私の10倍以上の練習内容をこなしていた。」と語っている。限界を超える練習、限界に挑む努力の尊さを教えてくれた、と。
追記
最近、妙に
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2018 11.18(日)放送のTBS「消えた天才」で
溝口氏が20年ぶりのTV出演をされたからでした。
お子さんも産まれ、幸せそうな溝口選手でした(^-^)
TVでは幻の記録が87m86cmと、本とは異なっていましたね。